こんにちは、白ウサギです。
前回、アリスが自身の入っている保険についてご紹介しましたが(⇒アリスの保険事情)、今回は金融業界を知る白ウサギの観点から保険についてお話しします。
保険が生まれた経緯
保険は紀元前4世紀頃から存在しています。
最初は商人が品物を運ぶ途中に、破損や盗難に遭った際の補償のために作られました。
いわゆる損害保険です。
生命保険はそのかなり後の西暦1400年頃、イギリスで生まれたと言われています。
当時は貴族や上流階級のみが利用していました。
一般人が利用する今の生命保険に近いものが出来たのは今から130年程前で、プルデンシャルという会社が週に3セントを払えば、亡くなった時の葬式代などを賄えるようにする仕組みを作ったのが始まりとされています。
日本の世帯加入率は異常なくらい高い
日本に普及し始めたのは、福沢諭吉が生命保険の仕組みを日本に持ち込んでからです。
しかし、すぐには大きく浸透しませんでした。
第二次世界対戦が終わり、日本には戦争未亡人が溢れかえりました。
その人たちの仕事として用意されたのが生命保険の営業です。
主人を亡くして残された家族としての苦しい家計・生活のエピソードを涙ながらに語り、親戚、知人に販売して回りました。
甥や従兄弟には
『あなた、昔からずっと可愛がってあげたわよね、ここは一つ保険に入っておきなさい』
知人には
『今日はお菓子持ってきたわよ、また近くに来たらお菓子差し入れるわね~、タイミング合えば保険の話しましょうね』
あるときは
『主人が亡くなり生活が苦しい、助けてもらえないか、保険が売れたらいくらか収入が入るから契約してほしい』
これが未亡人セールスレディに与えられた販売手法です。
これを業界ではGNPと呼びます。
義理、人情、プレゼントの頭文字です。
当然保険の知識など、セールスレディにはありません。
メーカーのとった戦略は、定期的に更新(再契約)しなければならない、死亡保険~医療保険までをパッケージ化した商品を作ることです。
セールスレディはその福袋のような商品を片手にGNPで売りまくりました。
いつの間にか日本の世帯加入率は93%にまで膨れ上がりました。
これは世界的にみても異常なくらい高いです。
外資系生保メーカーも何度か日本にマーケット展開をしようとしましたが、高すぎる加入率で飽和状態だったので、参入してきませんでした。
その保険、あなたに必要ですか?
ある外資系生保が日本人の加入状態について調査を行いました。
すると、その人に合った保険に加入している人は、33%しかいないことが判明しました。
これを機に外資系生保の参入となり、コンサルティングセールスがスタートしていきました。
それでもまだGNPが根強く残る日本では、その人に合う保険に加入出来ているのは50%にも満たないと言われています。
では、なぜみんな合わない保険に加入しているのでしょう。
それは日本人の金融リテラシーが極めて低く、保険の理解度も低いからです。
そして、みんなが加入しているからという根拠の無い理由で加入を決め、とりあえずパッケージ化されているからオールマイティーにカバー出来るだろうという浅はかな考えで、一生涯で1000万円にものぼると言われる保険に加入するのです。
加入したあとは加入していることに満足をします。
それは穴が空きまくった傘を持っていて、傘があることに満足しているようなものです。
保険に一度入れば今度は保険料が高いのではとそこにばかり意識がいき、安いものを探し安いものに飛び付きます。
実際はさらに穴の空いた傘に交換しただけなのに。
保険は、一人ひとりに違う人生があるので、それぞれの人生に合わせて取り組む必要があります。
なのに友達に相談したりネットでおすすめを調べたり。
そんなことより各社の保険パンフレットに加え、商品概要が全て記載されているものを手に入れ、自分で比較し自分で決めるのが本来の形です。
それが出来ないというのなら、ある程度お金を取られてでも専門のコンサルティングを受ければ良いのです。
もっというと、専門職である人たちのこともどんな職業であるか、報酬のシステム、その担当者の見極めなど様々なハードルがあります。
担当者が信用出来なければもう自分で全てやるしかありません。
でもそれは良いことだと思います。
勉強し、理解すればリテラシーが底上げされるから。
そこまでやると自分で納得出来る保険に加入出来て、その辺の素人保険営業マンに営業されても軽く論破することが可能になるでしょう。
保険は世界一複雑な金融商品である、それを忘れてはいけません。
金融リテラシーを高めなければいけない、答えはそこに尽きるのではないかと思います。
「備えあれば憂いなし」とアリスは言っていましたが、今のご時世そんなゆとりのある人はいないわけだから、備えすぎて無駄なお金をたくさん払うよりその人に合った保険を設計する方が大事ではないでしょうか。
コメント